- 介護老人保健施設「リハポート明石」を開設して
- 中央区介護老人保健施設リハポート明石 施設長 武藤邦彦 (脚注参照)
- 介護保険制度が始まって間もなく5年を迎えるところですが、厚生労働省の調査によると、昨年の8月末現在には要介護認定者数が400万人にまで達したということです。こうした中、これまでの経過を見る限り、介護度の改善は必ずしも思うように進んでおらず、高齢者の方々の自立をどう支えていくかが問題となっています。こうした杜会背景のもと、昨年、中央区では、区が施設を設置し中央区医師会が運営を行う、いわゆる公設民営により介護老人保健施設(定員入所者100人、通所者30人)が開設されました。60名弱の職員が3か月の研修を行い、7月1日から利用者の受入を開始しました。
- 当施設は、介護保険の趣旨に基づき、利用される方々がその有する能カに応じて可能な限り自立した目常生活を営むことができるよう、医学的管理の下にリハビリテーション、介護、看護、栄養管理等を行い、居宅における生活への復帰をめざします。似ている施設として、「マイホーム新川」や「マイホームはるみ」といった特別養護老人ホームがありますが、特別養護老人ホームは、寝たきりや認知症などにより、家庭での介護が困難な方々に、生活の場を提供する施設です。これに対して介護老人保健施設のリハポート明石は、家族や利用者の方と相談の上、利用者それぞれの状態に応じてリハビリテーション計画を作成し、心身諸機能の改善や食事、排椎など目常生活における自立の向上を図り、住み慣れた家庭での生活に戻ることをめざしてサービスを提供します。実際に、これまで車椅子を利用されていた方が杖を使って歩けるようになったり、おむつを使用されていた方が多少の介助だけでポータブルトイレを利用できるようになったなどの成果も出ています。なお、ご家族の方に対しては、出来るだけ多くの面会や、月2回程度のご自宅への外出、外泊の機会を持っていただくようにお願いしていますが、こうしたことが利用者の方々の刺激となり、居宅復帰への意欲を上げるとともに、リハビリテーションの目標の再確認に役立っものと考えております。
- 元気に長く生きられる、いわゆる健康寿命をのばすためには、悪い生活習慣を改善するのと同時に、高齢による生活機能の低下を防ぐ必要があります。こうしたことから、介護予防の一策として筋カ向上トレーニングが全国的に行われるようになってきました。高齢者では日常生活で使う筋肉は決まってしまい、使われない筋肉はどんどん機能が低下し、バランスを失って歩行障害、転倒につながります。当施設でも、この10月に、6種類の筋力向上トレーニングマシンを導入し、随時マシンを活用したトレーニングを開始しています。高齢者の方々には、こうしたトレーニングを通じて、身も心もお元気になっていただくことを期待しています。
- 施設を開設して半年以上が経ちましたが、区民の皆様からの期待も一層感じているところです。皆様に喜んでいただけるよう、柔軟に施設の運営を行っていきたいと考えておりますので、忌揮のないご意見をお寄せいただきたいと思います。皆様の力もお借りして、よりよい施設にしていけたら幸いです。
- (「おとずれ」中央区民生・児童委員だより 第16号より)
- 注:武藤先生は御事情により退職され、その後、施設長は平成23年7月19日より安田三弥先生、平成24年4月1日より根木達雄先生に交替しましたが、公益社団法人中央区医師会としてバックアップ体制を構築して万全を期しています。
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